研究内容

微細藻類の多様性調査

プランクトンネットでの採集の様子(写真左)、プランクトンネットのサンプルを顕微鏡で観察した様子(写真中)、湖岸近くで表層のゴミが吹き溜まりになっている部分をひしゃくで採集する様子(写真右)※採集は管理者の許可を得て実施しています。

 どこにどのような種類の微細藻類が存在しているのかを調査します。水温、栄養塩濃度なども同時に分析し、微細藻類と環境条件との関係なども解析します。採集の際には、有用な微細相違類が存在しているのかは分かりません。

 本研究室では、佐賀市内のため池の長期にわたる多様性解析を行ってきました(出村他 2023)。また、多様性調査の過程で新種が発見されることもあり、サプリメントとしても販売されているDHA(ドコサヘキサエン酸)を作り出すイカダモの新種を発見しました(Demura et al.2021, Demura 2022)。

Demura et al. (2021) Biomass, 1:105-118.

Demura (2022) Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B, 48(2): 1-2.

出村幹英他(2023) 藻類, 71:1-12.

微細藻類の培養試験(試験管、フラスコ、大量培養)

佐賀大学内に設置された佐賀市立さが藻類産業研究開発センター培養室の様子(写真左)と同センター付属ビニールハウス内の各種培養水槽(写真右)

 自然界から一細胞だけをピックアップし(単離)、窒素やリンなどが入った培地へ入れると、微細藻類の多くは二分裂して増殖します。こうして人工的に増殖させた「培養株=クローン株」を使って、どのような条件で一番増殖するのかを研究します。温度、光条件、窒素やリンなどの栄養塩の濃度など変化させることで増殖の速度は変わります。

 最適な培養条件が決まったら、少しずつ培養の規模を大きくしていきます。試験管で約1週間、フラスコで約1週間、10Lサイズの水槽で約2週間、その後、100L水槽で約2週間培養した状態が写真右の2つの水槽です。この水槽では、約0.3g/Lの濃度(培養液を乾燥し、残った藻類の重さ)で微細藻類が存在しています。

 本研究室では、2019年から2020年の一年以上にわたって100Lの培養を連続して行う試験を実施しました(出村他2022)。

出村他(2022) Microb. Resour. Syst. 38(1): 1-16.

微細藻類の同定と有効成分分析

DNA解析の例(写真左)、脂肪酸分析の例(写真右)

微細藻類の種類を決定(同定)する際にはDNAレベルの解析が必要な場合もあります。また、微細藻類が産生する成分を分析する際には、ガスクロマトグラフィーを使ったり、特殊な試薬や手法を用いたりして、有用成分を探索します。